04 答えはすでにあるもの プリント

企業のロゴマークから会社案内、ホームページなど、ある程度の資料さえあれば、デザイナーが自分のイメージで自由に制作することはできます。依頼する企業としても、ポンと投げてわりと見栄えのいいものが上がってくるなら、デザイナーに任せていたほうが便利です。

しかし、そうやって出来上がったものが果たして
現場で効果を発揮するかというと必ずしもそうでない場合があります。

企業がデザインを依頼するときに重要なのは、
「なぜデザインを依頼するのか?」という動機です。

ただ「あればいい」くらいの動機なら、
わざわざデザイナーに依頼するまでもなく、
社内制作や身近な業者へ依頼することで用は足ります。

ところが、何らかの問題を抱えていて、
この問題を解決するための手段のひとつとして
デザインも必要ということであれば、
それを実現できるデザイナーを探し出して依頼することになります。

デザイナーは本来、このような企業の問題を
デザインで解決するアイディアやヒントを提供することが仕事で、
このアイディアやヒントの凝縮された表現としてデザインを制作します。

企業が問題を解決する手段のひとつとしてデザインを考えるとき、
その問題はコミュニケーションに関わることが大きいと思います。
デザインは、人と人、人とモノ、人と情報の間にあって、
コミュニケーションを正しい方向へ円滑に導くための設計です。

この問題の解決策は、デザイナーの自由なイメージではなくて、
じつは企業の中にすでに答えはあるのです。

デザイナーはまず企業の現場へ足を運び、
そこにすでにある答えを独自の視点で探し出す。
または掘り起こしていく。

この作業がデザインの本質であり、この段階がとても重要なのですが、
デザイン作業の能率アップからこの段階を丁寧に行っているデザイン会社は
それほど多くないかもしれません。

デザイナーの仕事は現場が7割、机は3割。
現場の7割の作業は「考える作業」、
机の3割の作業は「つくる作業」。

言うまでもなくデザインの価値(問題解決)を生み出すのは、
考える作業で大きく変わります。
逆に、問題の解決策が明確にある場合には、
「考える作業」は社内で行い、明確な指示を付け、
「つくる作業」のみを依頼することで
大幅なコスト削減を実現することもできます。

いずれの場合も、「考える作業」は
どこかできちんと誰かがやらなくてはなりません。
ポンと投げてわりと見栄えがいいからOK、
このようなやり方ではなく、
「考える作業」で自社にとって解決したい問題点と施策、
表現の判断基準を明確にしたうえで、
目の前のデザインがどうなのかを評価することが大切です。

 
< 前へ